新職場の初当直を終えた。
だいたいヤブ医者感をフロアに伝えられた気がする。
今週は馴染みの職場に4日間行くので安心である。
その後日曜から怒涛の当直がしばらく続き、それが終わってしまえば人生の大学病院勤めを終える。
今までいまいちわかってなかった薬の使い方だとかを知って発見があった。
手術で行うこととは違う術後管理。
集中治療の適応。
でも体力的にここで半年はきつかっただろうな。
体力を補うために頭部の体積ほどのチョコレートを昨晩は摂取した。
昨日、モニターを愛してる、という私的にツッコミどころしかない台詞を聞けたのは面白かった。
採血の数値が並んだ画面を見るだけで眼球の水分が一瞬で蒸発してしまう身として眩しい。
モニター。
全てにタオルを掛けたくなる。
赤く点滅しすぎだろ。
その先生にはまだやりたいことがあるらしく、これからもそこに向かって医学を邁進するっぽい。
趣味が仕事だそうだ。
羨ましいにもほどがある。
この前もそういう人がいた。
電気の配線を動かすのが子供の頃から好きで今その仕事をしているそうだ。
趣味:仕事、は役満では。
医学を楽しいと思うときもあった。
でもそれはたまたま理解しやすく、驚きもあるようなトリビアを面白い、と感じるのに似てて、自分から進んで探究することは一度だってなかった。
必要に迫られて、覚える。
しかたなく。
麻酔科はその知識が必要になることが目の前で緊急に起こる分、合っていたとは思う。
必要に迫られて、の迫られ方が本気度高かった。
目の前で事が起きるから予習も対応もあまり悠長にしていられない。
他の科だったらもうちょっと人と相談して、とか明日までに、とかの余裕もあった気がする。
そういう先々の締め切りになるほど手をつけない。
これ読んどいて〜、この資料作ってみて〜、というのを須くやっていないことを今思い出した。
医局長、すいません。
医学にモチベーションがあったら、何か得意分野があったら、何か違っていたかもな。
なかったものはしょうがない。
人と一緒に働くことだけが楽しかった。
今日共有スペースに備えられてるWi-Fiが壊れたとかでシェアハウスの住人たちと話をした。
少し話すだけで気分が違う。
しばらく知らない人たちと住んでたが言葉を交わすだけで安心安全感が段違い。すごい。
外国の方は本当に話しかけることに抵抗感がないらしい。
初対面で昼を食べながら身の上話までした。
私は知り合いだとわかっていても基本的に話しかけない。
あいさつも同様で、去年覚えた。
なんか会う度にあいさつしなさい!と言ってくる先生がいたので。
最初機嫌悪いのか〜と冗談だと思ってたらまじで挨拶しなさいという意味だったらしい。びっくり。
そういうことも働かなくなったら忘れていくきがする。
また挨拶をしない人になる。
麻酔のやり方も忘れていってしまう。
麻酔はできなくなる。
いつかまた覚え直す可能性も考えたが、巻数が長い漫画を途中で読まなくなって、思い出すために1巻から読み直すことってあんまりしない。
先々のことはわからないが、モニターを見ることも、シリンジを触ることも、麻薬を食塩水で薄めることももうしなくなるのかなーと思いながら過ごしている。
医局に流るるハウル。